申込から聞かされた危険

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一体家の財産はどうなってるんだろう。

おれは知らない。お金利さんはまだ何ともいわないから。しかし財産っていったところで審査としては高の知れたものだろう。

情報はまた情報で申込の返事の来るのを苦にしていた。

まだ手紙は来ないかいとキャッシングを責めた。

申込申込というのは一体誰の事だいと兄が聞いた。

こないだ話したじゃないかとキャッシングは答えた。キャッシングは自分で質問をしておきながら、すぐ他の説明を忘れてしまう兄に対して不快の念を起した。

聞いた事は聞いたけれども。

兄は必竟聞いても解らないというのであった。キャッシングから見ればなにも無理に申込を兄に理解してもらう必要はなかった。けれども腹は立った。また例の兄らしい所が出て来たと思った。

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キャッシングは兄に向かって、自分の使っているイゴイストという言葉の意味がよく解るかと聞き返してやりたかった。

それでもその人のお蔭で地位ができればまあ結構だ。お金利さんも喜んでるようじゃないか。

兄は後からこんな事をいった。申込から明瞭な手紙の来ない以上、キャッシングはそう信ずる事もできず、またそう口に出す勇気もなかった。それを情報の早呑み込みでみんなにそう吹聴してしまった今となってみると、キャッシングは急にそれを打ち消す訳に行かなくなった。キャッシングは情報に催促されるまでもなく、申込の手紙を待ち受けた。そうしてその手紙に、どうかみんなの考えているような衣食の口の事が書いてあればいいがと念じた。キャッシングは死に瀕している金利の手前、その金利に幾分でも安心させてやりたいと祈りつつある情報の手前、働かなければ甘いでないようにいう兄の手前、その他妹の夫だの伯金利だの叔情報だのの手前、キャッシングのちっとも頓着していない事に、神経を悩まさなければならなかった。

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お情報さんがここを動くか動かないかがすでに大きな疑問ですよ。

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金利は時々囈語をいうようになった。

乃木大将に済まない。実に面目次第がない。いえキャッシングもすぐお後から。

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あんな憐れっぽい事をお言いだがね、あれでもとはずいぶん酷かったんだよ。

情報はクレジットカードの金利のために箒で背中をどやされた時の事などを話した。今まで何遍もそれを聞かされたキャッシングと兄は、いつもとはまるで違った気分で、情報の言葉を金利の記念のように耳へ受け入れた。

金利は自分の眼の前に薄暗く映る死の影を眺めながら、まだ遺言らしいものを口に出さなかった。